ボトックス注射とは?効果・持続期間・打ち続ける注意点をまとめて解説
公開日:2022/09/02 更新日:2024/07/25
ボトックス注射は、表情じわやエラ張りといったさまざまな悩みに効果が期待できる美容施術です。ダウンタイムもほとんど必要なく、比較的トライしやすいプチ整形としても有名ですが、効果を維持するためには継続的に施術を受ける必要があります。
本記事ではボトックス注射の効果や打ち続けるとどうなるのかについて詳しく解説します。後半では、ボトックス注射にまつわる噂の真偽についてもご紹介しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
Contents
ボトックス注射(ボツリヌストキシン注射)とは
ボトックス注射は、注射器を使用してボツリヌス菌が作り出すタンパク質の一種「ボツリヌストキシン」を体内に注入する、切開を伴わない美容施術です。製剤はイギリス、韓国、ドイツなど多数の国で、さまざまなメーカーによって作られています。
ボトックス・ビスタ®とは
アメリカのアラガン社が製造販売する「BOTOX VISTA(ボトックス・ビスタ)®」は、数あるボツリヌストキシン製剤の中でも、広く一般的に普及している製剤です。世界で95%以上のシェアがあり、比較的効果が長持ちしやすく、自然な仕上がりが期待できます。
ボトックス注射の施術名についている「ボトックス」は、このアラガン社の製品のこと。ボトックス・ビスタ®が広まり一般名称化したことで、ボツリヌストキシン製剤を注入する施術を総称して、ボトックス注射と呼ぶようになりました。
ボトックス注射の仕組み
ボツリヌストキシン製剤には、末梢神経から神経伝達物質の一つである「アセチルコリン」が放出されるのを抑制する効果があります。これにより、注入した箇所の筋肉の動きや汗腺、皮脂腺の分泌が抑えられ、(身体の表面に)さまざまな効果が表れるのです。成分を注入する箇所や注入量によっても、期待できる効果が変わるため、医師の経験と確かな技術が重要となる施術です。
ボトックス注射の効果
ボトックス注射で期待できる効果は、以下の4つが代表的です。
- しわ改善
- エラ張りの改善・小顔効果
- ガミースマイルの改善
- 肌質の改善
それぞれ詳しく説明します。
1.しわ改善
ボトックス注射の効果として、一番に取り上げられるのが、筋肉の動きが原因でできるしわの改善です。具体的には笑ったり怒ったりする際にできるしわのことで、「表情じわ」とも呼ばれます。表情筋を動きづらくすることで、皮膚に溝ができない状態をキープし、しわを改善します。
しわにもさまざまな種類があり、筋肉の動きとは関係なく深く刻まれたしわや、皮膚のたるみ、乾燥が原因のしわは、ボトックスでは改善できません。
ボトックス注射で改善できるしわ
ボトックス注射で改善が見込める表情じわには、以下のようなものがあります。
- 額の横しわ
- 眉間の縦じわ
- 目尻の笑いじわ
- 顎の梅干しじわ
- 口角のしわ
- 鼻根部の横じわ・バニーライン
- 首筋のしわ など
例えば額の横しわは、前頭筋(ぜんとうきん)という眉を上げるための筋肉の動きによって生じます。ボトックス注射をすると、眉を上方向に動かしづらくなり、しわができにくくなります。
顎にできる梅干し状のしわは、オトガイ筋というあごの筋肉に力が入りすぎることが原因のため、ボトックス注射でこの筋肉の動きを抑制するのが有効です。くしゃっと笑ったときに鼻根部にできる横じわや、鼻根部の左右から鼻先に向けて斜めにできる「バニーライン」なども、ボトックス注射で表情筋の動きを抑えることで、改善が見込めます。
このように、それぞれのしわの原因となる筋肉の動きを抑制することで、表情じわを抑制します。
ボトックス注射で改善できないしわ
筋肉の動きが原因ではないしわには、以下のようなものがあります。
- ほうれい線
- ゴルゴライン
- マリオネットライン
- 目の下のしわ
- 乾燥小じわ・ちりめんじわ
これらのしわを改善したい場合、ボトックス注射では十分な効果が期待できないため、他の施術を検討しましょう。ヒアルロン酸で肌の溝を盛り上げたり、ダーマペンで肌のターンオーバーを促進したりといった手段があります。ボトックスでは改善できないからといってあきらめるのではなく、ぜひ医師へ相談してみてください。
2.エラ張りの改善・小顔効果
ボトックス注射は、過度に緊張して膨張した筋肉を小さくすることも可能です。
例えば咬筋の発達による顔のエラ張りが気になっている方は、適量のボトックス注射を打つことでアセチルコリンの分泌が抑えられ、咬筋を縮小させる効果が期待できます。
咬筋の動きを抑制することで、食いしばりや歯ぎしりなどの癖を抑え、過剰な力が入って筋肉が肥大するのを防ぐ効果もあり、顎のラインをスッキリと小さく変化させられるでしょう。同じメカニズムで、ふくらはぎの筋肉を痩せさせることも可能です。
なお骨格によるエラ張りの場合は、筋肉がエラ張りの理由に関与しないため、ボトックス注射で改善することができません。医師の診察を受けてきちんとエラ張りの原因を調べた上で、施術内容を検討しましょう。
3.ガミースマイルの改善
ボトックス注射で、笑ったときに上の歯茎が見えすぎる「ガミースマイル」を改善できるケースもあります。
歯茎の面積が大きく目立ちやすいことや、上顎骨が過剰に発達していることなどが原因のガミースマイルでは難しいですが、筋肉の発達が原因の場合なら改善が可能です。ボトックス注射により、上唇を上方向に動かす筋肉「上唇挙筋(じょうしんきょきん)」の動きを抑えます。
4.肌質の改善
ボトックス注射で抑制するアセチルコリンには、わきの下や手のひらなどにあるエクリン汗腺から汗を出す働きもあります。これを抑制することで汗の量を減らし、多汗症を改善することができます。エクリン汗腺は肌の浅い層にあるため、表皮から真皮にかけて適切な深さでボトックスを打つ必要がある施術です。
また、顔全体の美肌を目指すためにボトックス注射を活用することも。「マイクロボトックス」とも呼び、こちらも皮膚の浅い箇所に、ごく微量のボツリヌストキシンを注入する施術です。毛穴が引き締まり、ハリのあるなめらかな肌になるなどの効果が期待できます。顔全体のケアをしたい場合に用いられます。
ボトックス注射の効果の持続期間
ボトックス注射は、施術後3日目あたりから効果が表れ始め、2〜3週間ほどで安定する施術です。また多くの場合3カ月〜半年程度効果が続き、一定の期間が経過すると、その後はだんだんと効果が薄れていきます。これはあくまでも目安で、ボトックスを打つ箇所や、製剤の量、施術を受ける方の状態など、さまざまな要因によっても効果の表れ方は変わります。
ボトックス注射を打ち続けるとどうなるの?
次に、神経伝達物質を阻害するボツリヌストキシンを、同じ場所へ打ち続けるとどうなるのかについて解説します。
適切な頻度で打てば継続的な効果が得られる
ボトックス注射の効果が切れると、その箇所は施術前の状態に戻ります。そのため、施術後の状態を維持したいのであれば、ボトックス注射を定期的に打ち続けなければなりません。
体への悪影響が心配になるかもしれませんが、ボトックス注射は眼瞼痙攣の治療などにも使用されており、むしろ長期にわたって使用することを前提とした施術です。適切な間隔を空けて、適切な施術を受けるのであれば、過度な心配は必要ないでしょう。
なお美容医療の世界では、ボトックス注射を繰り返すと、徐々に持続期間が長くなると言われています。長期的に見ると、打ち続けた方が1回あたりの効果を長く持たせられるはずです。
短期間での連続使用には注意
一方でボトックス注射は、適切な間隔を空けずに連続で打ち続けると、抗体ができて効き目が弱くなるとも言われています。
施術後、想定よりも早く効果が薄れてきても、施術サイクルを勝手に早めてはいけません。必ず医師に相談し、適切な間隔を空けて施術を受けるようにしてください。
ボトックス注射で不自然な顔になる理由
ボトックス注射によって、不自然な表情になってしまうことは起こり得ます。その多くは医師の技術不足などにより、適切な部位に適切な量のボツリヌストキシンが注入されていないことが原因です。
打つ量が多すぎたり、間違った箇所へボトックス注射を打ったりしてしまうと、意図していない筋肉にまで効果が表れ、動きを止めてしまいます。表情が作りづらくなる「表情喪失」の状態になったり、通常どおりに動く筋肉との差が生まれたりすることで、不自然な表情になってしまうのです。
よくある例として挙げられるのが、眉が不自然に吊り上がる「スポックブロー」。これは、眉間のしわを改善するために打ったボツリヌストキシンが、額全体の筋肉に強く作用しすぎた時に起きます。眉尻側の筋肉には製剤が届いておらず、通常通り動かせるため、バランスが崩れてしまうのです。
スポックブローになってしまった場合の対処法は、眉山の上にボトックスを追加で打つことでバランスを取り戻すというものです。ボトックスは注入すると取り除くことができないため、追加により解決できない場合は、原則効果が切れるまで待つしかないでしょう。
ボトックス注射のその他のリスクや注意点
ボトックス注射には、他にも覚えておきたいリスクや注意点がいくつかあります。一つずつ見ていきましょう。
痛みや内出血の可能性
ボトックス注射はダウンタイムがほとんどない施術ですが、術後に痛みや内出血が起きてしまうケースがあります。基本的には一週間程度で治るものですが、時間が経過しても治らない場合はトラブルが起きている可能性があるため、すぐに医師へ相談してください。
特に内出血を助長してしまう行為として、長すぎる入浴や過度な飲酒、マッサージなどが挙げられます。これらの行為は血行を良くし、体温を上昇させるため、内出血が起きやすくなるだけでなく、熱に弱いボトックスの効果を薄めることにもつながります。
またマッサージなどで施術箇所に圧力がかかると、せっかく注入したボトックスが体内で広がり、狙った効果を得られなくなってしまう可能性もあります。上記のような行為は、施術直後には極力控えるようにしましょう。
ボトックスの術後に避けた方が良い行為についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてチェックしてみてください。
アレルギー反応の可能性
ボツリヌストキシン製剤は薬剤のため、腫れや赤み、痒みなどのアレルギー反応が出る可能性もあります。重症化することはほとんどありませんが、何かしらのアレルギーを持っている方は、事前にその旨を医師に伝えて相談するのがおすすめです。術後に症状が出てしまったら、軽度であれば様子を見ても良いですが、症状が強い場合や長引く場合はすぐに医師へ相談してください。
授乳中や妊婦はNG
ボトックス注射は妊娠中の方や、授乳中の方は受けられません。これは赤ちゃんへの悪影響が100%ないと証明できていないためです。男性の場合も、最終投与から最低でも3カ月は避妊が必要です。
ボトックス注射をやめると老けるって本当?
最後に、ボトックス注射をやめると老けるという噂について解説します。
ボトックス注射の効果によって、老化が促進されることはありません。ボトックス注射が効いていた時の状態と、効果が切れて元に戻った状態にギャップがあり、ボトックス注射をやめると急に老けたように感じてしまうのです。
また過度な施術によって筋肉が痩せ過ぎることで、もともとあった皮膚が余るような形でたるみ、それが老けて見える原因となる場合もあります。これを防ぐには、たるみが生じないよう配慮した、適切な施術が必要です。
まとめ
ボトックス注射は表情じわをはじめ、さまざまな悩みに効果を発揮する施術です。トラブルを避けて施術後の状態を維持するには、適切な期間を空けて、適切な量のボトックス注射を定期的に打つ必要があります。
表参道スキンクリニックでは、アラガン社の「BOTOX VISTA(ボトックス・ビスタ)®」を使用しています。製剤の品質管理も徹底。施術後のアフターケアを重視しており、時間がたっても問題がないかどうかまでしっかりと確認します。
ボトックス注射を長期的に受けたい方や、受けてみたいけれど表情喪失などのトラブルが心配という方は、ぜひ一度カウンセリングを受けてみてください。