ボトックス注射の副作用|失敗しないためのクリニック選びを監修医師が解説
公開日:2022/09/02 更新日:2024/03/20
ボトックス注射は、ダウンタイムが少なく、大きな副作用が起こる可能性が低い美容施術です。皮膚にメスを入れることなく注射器で製剤を注入するだけで、表情じわの改善やエラ張りの解消などが期待でき、自力では改善するのが難しいお悩みにアプローチできます。
とはいえ全くリスクがないというわけではなく、場合によっては、重篤な副作用が起こる可能性もあります。事前のカウンセリング不足や施術者の技術不足などにより、適切な施術が行われず、本来なら起こるはずのなかった副作用が発症するケースもあり得るでしょう。
本記事では、ボトックス注射について改めておさらいした上で、考えられる8つの副作用をご紹介します。後半では、ボトックス注射を受けられない方や副作用を防ぐための方法についても触れているので、ぜひ最後まで読んでボトックス注射のリスクを正しく理解した上で、施術を検討してみてください。
Contents
ボトックス注射(ボツリヌストキシン)とは
ボトックス注射とは、ボツリヌス毒素から抽出した「ボツリヌストキシン」が入った製剤を、注射器で皮膚の内部に注入する美容施術です。ボツリヌストキシンは人体に悪影響のないたんぱく質で、神経伝達物質のひとつ「アセチルコリン」の放出を抑えることで、筋肉の働きを緩める作用があります。
ボトックス注射を顔の皮下に注入すると、この筋肉への作用によって、表情じわや筋肉の発達によるエラ張り、ガミースマイルなどのお悩みを改善する効果が期待できます。顔以外のパーツにも注入でき、多汗症や肩こりといったお悩みの改善にもつながるでしょう。
ボトックス注射の最大ともいえる特長は、施術後の身体への負担がほとんどない点にあります。切開を伴わず、製剤の注入だけで施術が完了するため、施術にかかる時間は5分程度。ダウンタイムもほとんどありません。
施術内容にもよりますが、効果は製剤を注入してから2日程度で実感でき、1週間くらいでピークに達するのが一般的です。ボトックス注射の効果は半永久的ではなく、約4〜6カ月程度の持続期間を経て、だんだんと施術前の状態に戻っていきます。そのためボトックス注射の筋肉の働きを緩める効果を継続させたい場合は、適切な頻度で定期的に施術を受ける必要があります。
ボトックス注射の副作用8選
ボトックス注射は注射だけで完結するため、「メスを使った外科手術はハードルが高い」という方にとっても、比較的挑戦しやすい美容施術です。術後の禁止事項も特になく、ほとんどの場合、施術直後からすぐに日常生活に復帰できます。
ただし冒頭でもお伝えした通り、副作用が全くないわけではありません。ボトックス注射で起こり得る副作用は、以下の8つに分けられます。
・施術中に痛みを感じる
・術後に痛み・腫れ・内出血などの症状が現れる
・アレルギー反応が起こる
・頭痛が生じる
・表情が不自然になる
・かむ力が弱くなる
・仕上がりが左右非対称になる
・皮膚がたるみやすくなる
それぞれについて、詳しく解説します。
1.施術中に痛みを感じる
ボトックス注射の施術時は、チクッとした痛みを感じます。痛いと言ってもボトックス注射で用いられている針は極細のものであり、予防接種や採血などで用いられることの多い針と比べると、非常に細いです。痛みの感じ方は人によって異なりますが、予防接種や採血で感じる痛みがそこまで辛くないという方であれば、特に問題はないといえるでしょう。
クリニックによっては、ボトックス注射の施術中の痛みを軽減する目的で、麻酔を行ってから施術に入るところもあります。どうしても不安な方や、痛みを感じやすい方は、事前のカウンセリングで医師に相談してみてください。
2.術後に痛み・腫れ・内出血などの症状が現れる
ボトックス注射の針を刺したことによって、術後に痛みや腫れ、内出血といった症状が現れることもあります。痒みを伴うケースもあるかもしれません。
施術直後からメイクが可能なので、帰宅前にファンデーションやコンシーラーで隠せば、人と会っても驚かれるようなことはないでしょう。これらの症状は一般的に2週間程度で消えるはずですが、万が一長引く場合は、すぐに施術を受けたクリニックへ相談しましょう。
痛みや腫れ、内出血といった症状は、体が温まって血行が良くなり過ぎると強く出ることがあります。またボツリヌストキシンは熱に弱く、体温の上昇により効果が半減してしまう可能性もあります。そのためボトックス注射を受けた直後は、体温を上げるような行動に注意しましょう。
シャワーや入浴の制限はありませんが、副作用リスクを少しでも下げるのなら、3日間ほどは長時間湯船に浸かるのは控えることをおすすめします。激しい運動など汗を大量にかくような行動も、控えるべきです。過度な飲酒やマッサージも、血行が良くなる行為にあたるので、気を付けるようにしてださい。
またボトックス注射の施術箇所を圧迫すると、内出血のリスクがあります。注入したボツリヌストキシンが広がり出て、狙った箇所以外へも効果が表れてしまう可能性があることからも、マッサージは控えておくことをおすすめします。
3.アレルギー反応が起こる
ボツリヌストキシン製剤はアレルギー反応が起こるリスクが低く、万が一発症しても通常の副作用と似た腫れや赤み、痒みなどが1週間前後現れる程度で、重症化することはほとんどありません。身体への悪影響が少ないと考えられるため、施術前のアレルギー検査も、特に行わないケースが多いです。
ただし、体質によっては症状が強く出る可能性や長引く可能性もゼロではありません。何かしらのアレルギーを持っている方や不安な方は、必ず施術を受ける前に、医師に相談するようにしましょう。
4.頭痛が生じる
稀なケースですが、ボトックス注射を受けた後に頭痛が生じる方もいます。ボトックス注射がしっかりと効くと、筋肉が動きづらくなる箇所とこれまで通り動く箇所が生まれ、バランスが崩れます。施術前とは組織の支え方が変わることで、異なる筋肉に負担がかかり、疲労が蓄積して頭痛につながるのです。
なおこの症状は、どちらかというと普段あまり頭痛にならない方の方が、起こりやすい傾向にあります。同じく筋肉バランスの崩れによって、むくみや倦怠感を覚えるケースもあるようです。
筋肉バランスの崩れによる頭痛やむくみ、倦怠は、通常数日で自然に治まります。ただし頭痛と一緒に発熱やめまい、吐き気といった症状が見られる場合は、製剤が身体に合わなかった可能性や、適切な施術ができていなかった可能性があるので、すぐにクリニックへ相談してください。
5.表情が不自然になる
前述の通りボトックス注射は、筋肉の働きを緩めることで、さまざまなお悩みを改善する美容施術です。しかし製剤を過度に注入した結果、意図していない筋肉にまで不必要な効果が表れ、不自然に見えてしまうことがあります。
例えば口角が上げづらくなることで、終始こわばったような表情になってしまうケースや、口角の上がり方に左右差が出て引きつったような笑顔になってしまうケースが挙げられるでしょう。眉上にボトックス注射を打ち過ぎた場合は、「スポックブロー」という、眉が不自然に吊り上がったままの状態になる可能性もあります。またボツリヌストキシンが広範囲に渡って効き過ぎた場合、表情を作れなくなる「表情喪失」という状態になり、他人とコミュニケーションを取りづらくなってしまうという懸念もあります。
ボトックス注射は半永久的に効果が続く施術ではないため、万が一表情が不自然になってしまっても、基本的には数週間から数カ月で自然と改善されます。反対に言えば入れてしまったボツリヌストキシン製剤を溶解したり除去したりすることはできないため、元の状態に戻したい場合は、成分が吸収されるまで待つしかありません。
6.かむ力が弱くなる
エラ張りの改善や肩こりの改善が目的でボトックス注射を受けた場合、顎の筋肉の働きが緩まりすぎて、食事中にかみづらくなったり、硬い食べ物をかんだ際に違和感を覚えたりする可能性があります。
ボトックス注射によってかむ力が弱くなってしまっても、1週間程度で気にならなくなるケースがほとんどです。また食べ物がかめなくなってしまうほど顎の筋力が弱まるということはまずないので、食事ができないなど日常生活に支障をきたす懸念も基本的にありません。
7.仕上がりが左右非対称になる
もともと人間の顔は、どんなに整った顔立ちの方でも、よく見ると左右非対称です。ボトックス注射を打ったことで、施術前よりもその差が大きくなってしまうことがあります。
この症状が起きる原因には、注入量の左右バランスが関係します。ボツリヌストキシン製剤を注入する際、左右の量を同じにしても、仕上がりのバランスが均等になるとは限りません。自然な仕上がりにするためには、元の筋肉の状態に合わせて効果の表れ方を計算し、事前に仕上がりデザインを考えた上で注入量を決定する必要があります。このことを理解していない者が施術を担当すると、知識や技術力の不足が露見します。
顔の左右非対称は、表情が不自然なってしまった場合と同様に、ボトックス注射の効き目が薄れる1カ月ほどで徐々に改善されるはずです。施術から1カ月以上経っても状態が改善されない場合や、左右差が顕著ですぐに改善したい場合は、筋肉を動かしやすい方にボトックス注射を追加で打つことで、左右差を目立たなくするという対処法もあります。
8.皮膚がたるみやすくなる
ボトックス注射の打ち方によっては、皮膚がたるみやすくなります。特に年配の方や皮膚が薄い方、皮膚の弾力性が低い方は、筋肉が緩むことでその表面にある皮膚が余りやすく、たるみにつながる可能性が高いです。
本来ボトックス注射は術後の変化を想定して、たるみが生じないような打ち方や注入量を決定し、デザイン通りのきれいな仕上がりを目指します。施術者の知識や技術が十分でない場合、この調整がうまくいかずに皮膚がたるみ、かえって老けて見えてしまう可能性があるでしょう。
思ったような効果が得られない場合も
当然のことですが、施術箇所に適切な量のボツリヌストキシン製剤を注入しなかったり注入位置を誤ったりした場合には、副作用が起きる可能性があるだけでなく、本来のボトックス注射の効果が得られないでしょう。
またボトックス注射は、筋肉の動きが原因で起こっているお悩みを、ピンポイントで改善する美容施術です。そのため筋肉以外が原因で起こっているお悩みにボトックス注射を打っても、あまり効果を実感できません。
例えば皮膚のたるみが原因のしわや、組織に深く刻まれた無表情の時にもできるしわは、ボトックス注射で改善するのが難しい類のしわです。老け顔のお悩みとして挙げられることの多い、ほうれい線、ゴルゴ線、マリオネットラインといったしわも、これらに該当します。
エラ張りも、咬筋の発達が原因ならばボトックス注射は非常に効果的ですが、骨格によりエラが張っている場合、明らかな小顔効果は得られません。骨切りなどの、メスを使った切開を伴う美容施術の方が向いています。
その他、ボトックス注射の効果は施術から少し時間が経ってから表れることが多い点にも注意が必要です。例えば表情じわにボトックス注射を打った場合、施術の3、4日後くらいから徐々にしわの原因である筋肉の働きが緩やかになるでしょう。表れた効果が安定するまでにはおよそ2週間と、さらに時間が掛かります。このことを理解していなければ「施術を受けたのに効果がなかった」とがっかりしてしまうかもしれません。
なお効果が表れないことを不安に思うあまり、適切な間隔を空けずに次のボトックス注射を打つ行為はNGです。ボトックス注射は打ちすぎると、抗体ができて効きづらくなってしまうという説もあります。こうなると、施術回数が増えれば増えるほど「あまり効かない」という感覚に陥りかねません。
施術後効果が実感できない場合はもちろん、「想定よりも早く効果が薄れてきた」「もっと強く効いてほしい」などと感じた場合でも、独断で次回の施術のタイミングを早めるようなことは控えましょう。
ボトックス注射を受けられない・控えた方が良いケース
ボトックス注射を受けられないケースや、控えた方が良いケースがあります。受けられるかどうかは診察を踏まえたクリニックの判断による部分が大きいですが、たとえ「ボトックス注射を受けても良い」となっても、リスクがない訳ではないため注意が必要です。
ボトックス注射を受けられない・控えた方が良いのは、主に以下に該当する方です。
・神経疾患のある方
・高齢の方
・妊娠中、および授乳中の方
それぞれ詳しく見ていきましょう。
神経疾患のある方|受けられない
神経疾患などを抱えており、神経伝達に影響を与える薬を飲んでいる方は、ボトックス注射を打つことはできません。ボトックス注射は注入した箇所の筋肉の働きを緩めるため、神経筋接合部にも影響を与えます。そのため薬の効果が相殺されたり、薬の効果が想定以上に高まったりする懸念があるのです。
神経伝達に影響を与える薬を含め、ボトックス注射には併用してはいけない禁忌薬が定められています。服用している薬がある方は必ず事前に医師へ伝え、判断を仰ぎましょう。
高齢の方|控えた方が良い
65歳以上の方のボトックス注射は推奨されていません。高齢の方にボトックス注射を打っても有効性が低く、副作用のリスクが大きくなるからです。
また持病の治療目的などで、普段から薬を服用している方も多いでしょう。先述の通り、ボトックス注射には禁忌薬があります。常飲している薬がボツリヌストキシン製剤と併用不可の可能性もあるため、医師が確認して施術の可否を決める必要があります。
妊娠中、および授乳中の方|受けられない
妊娠中や授乳中の方はボトックス注射を受けられません。これは胎児や乳児に悪影響を与える可能性がないとは言い切れないためです。中には「妊娠中にボトックス注射を打っても問題がなかった」という方もいますが、安全性が証明されているわけではないため「妊娠中や授乳中の方にはボトックス注射を行わない」という方針になっています。
男性の場合も、最後にボトックス注射を受けてから、少なくとも3カ月間は避妊が必要です。
ボトックス注射による副作用は本来防げるもの
ここまでボトックス注射で起こり得る副作用を中心に解説しましたが、事前のカウンセリングと施術が適切に行われている限り、ボトックス注射の副作用は総じて起こる可能性がほとんどないと言えます。実際に表参道スキンクリニックでは、副作用は報告されていません。
ボトックス注射の副作用は、注射針の刺し込みによるごく軽度の症状を除き、不適切な施術もしくは術後の過ごし方により引き起こされるものがほとんどです。ミスには、製剤の注入量が多すぎたり、複数箇所に同時に注射をしすぎたりといったケースが考えられます。また本来事前のカウンセリングがきちんとできていれば、施術を受ける方の過去のアレルギー反応や体質の傾向を把握した上で、副作用のリスクを考慮した適切な注入量・注入箇所を選択できるでしょう。
ミスを防ぐためには、施術者のボトックス注射への知識や経験が豊富であることは不可欠です。カウンセリングの内容を元に、それぞれに適した施術計画を立ててくれるような、信頼のおける医師に施術を依頼するようにしてください。起こらなくても良い副作用の発生を未然に防ぐことにつながります。また術後の過ごし方などについても、事前に適切なアドバイスを受けられるはずです。
まとめ
ボトックス注射の副作用が起こる可能性は、適切な施術が行われている限り、実際はほとんどありません。反対に言えば、事前のカウンセリング不足や施術者の経験不足などが目立つ、不適切な施術が行われる可能性の高いクリニックを選んでしまうと、少なからずリスクが上がります。本記事を通して、どのような副作用が起こり得るのかを知った上で、適切な施術を行ってくれるクリニックを選びましょう。
表参道スキンクリニックのボトックス注射は、厚生労働省認可の:「BOTOX VISTA(ボトックス・ビスタ)®」という製剤を使用しています。専門医の教育を受けたスタッフが、施術を受ける方の"理想の姿"や肌状態を考慮しながらお一人お一人に合った注入量や注入箇所を提案し、そこで決めた内容を実際の施術に反映させます。医療機関ならではの手厚いサポートが受けられるため、自分に合ったボトックス注射を受けたいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。